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アンゲロニアの育て方(参考:BALL REDBOOK)
1、はじめに
このアンゲロニアの育て方はアメリカのBALL REDBOOKを翻訳追記したものです。必ずしも日本での育て方に適合するわけではありません。その点を理解の上参考にしてください。
2、アンゲロニアの基本情報
流通名:アンゲロニア
形態:一年草、切り花
増殖方法:種、挿木
発根方法:挿木用土もしくはオアシスに挿して、14日~21日
生産者仕入:プラグ苗
注文時期:9月~2月
納入時期:2月~3月
ポットサイズ:10cm,15cm,20cm,コンビネーションポット、畑
製品完成:10cmポットで6週~8週
肥培管理:低い
光線量:43,000ルクス~54,000ルクス
温度:昼間24℃~32℃/夜間18℃~21℃
開花要因:温度
難しさ:簡単
3、アンゲロニアについて
アンゲロニアは比較的新しい植物で、寄せ植えなどとして春から夏にかけての商品としてガーデンセンターなどでよく見かけます。アンゲロニアの花はスパイク上の花枝に紫、紫と白、ラベンダー、ピンク、白といった色をつけます。それぞれの花はランのような3cm程度の小さな花です。
アンゲロニアはブラジルではトロピカルペレニアルといわれています。この植物はまた非常に暑さを好み、水を好みます。しかしながら乾燥に強いです。切り花に利用した場合、花瓶の中で10日~20日は花を保ちます。なので、アンゲロニアは庭にも室内にも適合できるユニークな植物です。
4、増殖
アンゲロニアは非常に簡単に挿し木が可能です。しかし、新しい品種の多くは種苗登録申請が行われており無断で栽培をして、販売することは禁じられています。挿木の仕方はマザーストックを剪定し、そこから出てきた新しい穂を挿木用として利用します。付け加えて言うのならば、何社かはアンゲロニアの根なしカッティングを販売しています。
もし、根なしカットが到着したのなら、すぐさま土に挿すことをお勧めします。仮にそれが不可能だった場合は、10℃-16℃で24時間以内であれば問題はありません。挿木する際には21-24℃のミストを使い、温度を昼間24-26℃、夜間20℃-21℃に保ちましょう。土は常に湿らせておく必要もあります。ミストの頻度は光の強さや温度などで適宜調整が必要です。光の量は54000-11000ルクス、肥料は15-0-15を50-75ppmであげます。もし、量が少ない場合は葉の色が薄くなります。カルスはおおよそ5-7日で形成します。
根が形成を始まったら次の段階に移ります。いったん50%の挿し穂に根っこが生えたら、20-22℃の土の温度、昼24-26℃/夜20-21℃の低めの温度で根の成長を助けます。また光の量も11000-22000ルクスが良いです。また徐々に土の湿度とミストの頻度を減らして徐々に乾燥気味に育てます。また肥料も100ppmの15-0-15もしくは20-10-20を与えます。このときはおおよそ7-15日で根が発達します。
売るため。もしくは植えかえ用の丈夫なプラグは昼21-24℃/夜16-20℃で約1週間管理します。そしてミストを止め、22000-32000ルクスの場所で管理します。この際150ppm-200ppmの15-0-15もしくは20-10-20の肥料を1度与えます。
5、製品作り
プラグはたいてい9-10cmポットには1本、15cmには2本、それ以上には3-4本植えます。または、はじめ9-10cmポットに植えて、その後18cm以上のポットに植え替えるということも可能です。プラグは移植後環境が整っていれば6-8週で開花します。
また、植物は植えかえ前にもし新しい性緒が垣間見れたら、10-14日目で一度ピンチをするとよいでしょう。ピンチは大体下から3-5節目がお勧めです。9-10cmのポットの場合製品までピンチは1度、15cm以上のものに関しては2-3回するとよいです。また生産者は「フローレル」を使用し良い商品を作ろうとします。フローレルの最後の散布は出荷前8週間ベストでしょう。ただ気をつけなければならないのはフローレルは葉焼けを起こす原因になりますので。
成長にとって昼24-32℃/夜18-21℃の温室で育てるのがベストパフォーマンスです。アメリカ北部の生産者は晩春の出荷を待つのが賢明でしょう。もし仮に早めに商品を受け取っても、それが成長に必要な温度と光線量になるまでは植物は生長しません。冬まで商材として使うのであれば、電照が必須です。さもなければ伸びてしまいます。また肥料のレベルも抑えることで茎が弱くなることから守れます。潅水は液肥(15-0-15,200ppm)を2回、3回目には水のみという順番であげるとよいでしょう。土は常に湿らせておきましょう。もし乾燥させてしまえば葉焼けの原因になります。
高さは肥料レベルと湿度をコントロールすることである程度はコントロールが可能です。ただ、成長が著しいものに関してはサイコセル(1500ppm)やBナイン(3000ppm)が効果的です。その際は初めてのピンチから10-14日に1-3回ほどかけます。
6、切り花利用
アンゲロニアはまた切り花にも利用が可能です。ケンタッキー大学のリサーチではハウスの中20週で1㎡あたり841本の枝がとれたそうです。AngelMistPurpleは一番パフォーマンスが高く、1㎡当たり1285本、AngelmistDeepPlumは1㎡当たり629本で一番生先が悪かったようです。切り枝の高さは36-91cmの高さで、約60%の枝が46cmだったそうです。
夏の暑い温室はアンゲロニアにとって非常によく、昼平均24-29℃、最高気温38-40℃でも問題はないようです。植物は刈り取りの後に新しい新芽を伸ばすために2-3週間後に150-200ppmの肥料を与えるとよいです。その後肥料を与えなくても大丈夫です。こうすることで強く太いシュートがとれます。
1㎡に植えるアンゲロニアの数は10cmで育てられたもので75-85本ほど植えます。そして切り花用のネットを掛けます。ついでに言うのならば、2-3週間かけてすべての茎を取り除くことで次の茎が良いタイミングで生えてきます。夏の間2-3回の収穫が見込めます。
7,病気など
アンゲロニアは虫がよく付きます。コナジラミが高い確率で寄ってきます。またアブラムシやアザミウマにも要注意です。またBotrytis,Pythium,Rhizoctoniaなどの病気も注意です。
8、トラブルシューティング
トラブルとして深植えによる根腐れや特に挿し木で育てたものに関しては、アンモニア過多、光線が弱いにも関わらず肥料が過多、少ない光、過度もしくは遅すぎるFlorelの散布、もしくは、高温高光線量が植物に障害を出させます。また、肥料が少なすぎると分枝性が悪くなります。
8、その後
アンゲロニアの枝には細かい毛が生えています。あまり皮膚に良いものではないので切り花を扱う人は特に葉をはいだ後によく手を洗うことをお勧めします。
ガーデンセンターで扱う場合、アンゲロニアは午後から日が陰る場所に置き、水を極力抑えましょう。ただ、完全に乾燥の状態にしてしまうと開花が止まってしまうので、湿り気だけは失わないようにしましょう。また、絶対に密集させないようにし、根本まで空気と光が通り抜けるようにしましょう。そうすることで植物の新鮮さが保てます。
アンゲロニアを買ったお客さんがピンチをする際には現在の高さの約50%の高さで刈り込むことをお勧めします。特にあたたかい地域では。こうすることで2-3週間後にはまたたくさん花をつけるでしょう。