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勉強会

先日社長の代理で農林水産省に出向き生物多様性条約の勉強会に参加をしてきました。


生物多様性条約とは聞いたことはあっても何やらどんなものかは具体的な

内容は意外にわからないかともいます。

植物の育種という観点からの話だったもの、その辺を要約してみます。

植物多様性条約の正式な名前は

生物多様性に関する条約
⇒Convention on Biological Diversity

約して

CBDと呼ばれます。

締結国はアメリカを除く193か国。

育種にかかわる部分においての大変重要な部分は

第15条の部分で

この部分によって

遺伝資源は人類共通の財産から自国の主権的権利に大きく変化しました。

現在この辺の問題がこの条約を非常に複雑なものに

してしまっているという現状があるようで、

遺伝資源を主権的に国が持つということは、

実は遺伝資源を自由勝手に移動することができず、

同意を採ったとしても、その後利益配分と言うことで

ロイアリティを支払う義務が発生します。

勿論反対派と賛成派がいるのですが、

賛成派が圧倒的に大多数のようで、彼らの要求は結構

過激な感じだそうです。

・一度自国の遺伝資源を利用したものを作り、その後派生的に
 発生したものに対しても利益配分をすべき

と言うような一例ですがあるようです。

今度の10月に行われれる会議がとりあえずこの条約の

一つの区切りと言うことで名古屋で行われるようです。

まあまあどのようになるのか楽しみです。

私なんかは、そんなロイアリティを得るような仕組みでは

なくて、利用された商品が自国に輸入される際に

高関税を採るなどしてやればよいと思うのですが。

この分野は花の分野よりも非常に深刻なのは

医薬品業界のようで、生物多様性条約と言うものは

実は対照が人以外のすべてということになっており

思いのほか『伝統的知識』という部分にまでこの幅が

広げられているようです。

そのようになってくると結局のところ、漢方医学なども

この分野に取り込まれるということなので、

非常に医薬品業界は戦々恐々としているようです。


育成者の会の顧問の先生の言うには、

『遺伝資源は利用するものがあって初めて効果を

発揮される』

と言っておられました。

全くおっしゃる通りで、これはもっともな意見です。

現在賛成国の方々はやはり

『楽して儲ける』

という考えがあるようで、権利は主張しても

その具体的な解決策などは自国の買って都合な

話だけで全体の均衡をとりうるものではないようなので

今回の10月に行われる『COP10』においても

おそらく何も決まらずこの条約は体をなさなくなってしまう

かもしれません。


その際にもう一つの条約についてもお話をいただきました。

植物遺伝子資源条約というものがあるようで、

こちらの対象は植物のみで、世界で123か国加盟しており

対象は『全ての食糧農業植物遺伝資源』で

条約の目的は

多様性の保全+持続的利用+利益配分+食糧安全保障

と生物多様性条約に食糧安全保障がついた条約だそうです。

利益配分も明確であり

利用した遺伝資源の利益は国連の機関に貯金され

それが途上国支援に利用されるようです。

また、対象品目も生物多様性条約のようにめちゃくちゃ

広いわけではなく、35作物と29飼料作物だけになっています。

まあ、どちらがスマートな条約なのか?と思うのですが、

後者には残念ながら日本は加盟しておりません。

何かと色々なことがあると思うのですが、

その辺は取捨選択をしっかりしてほしいものです。

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2010年08月26日 02:54に投稿されたエントリーのページです。

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